当科のご紹介
呼吸器外科では、心臓と食道、乳腺以外の外科的処置が必要な胸部疾患を扱っています。
常勤医は3名で、呼吸器外科専門医や胸腔鏡安全技術認定を取得した医師が在籍しており、初診から入院治療、術後経過観察まで切れ目のない医療を提供しています。
特色
「患者さんにやさしい手術」をモットーに、低侵襲手術に取り組んでいます。ほとんどの手術を胸腔鏡下手術により行っています。
気胸ホットライン
平日日中に担当医師直通の電話番号を近隣の連携施設の先生方にお知らせしております。
当センター初診でも迅速に対応いたしますので、当日受診していただくことができます。
ご希望されるクリニック・診療所関係者の方は医療連携課にお問い合わせください。
単孔式胸腔鏡手術
胸腔鏡手術では、術者の「目」となるカメラ(ファイバースコープ)と、右手・左手に相当する2本の手術器具を使って操作を行います。従来はこれら3つの器具を体内に挿入するため、それぞれ別々の小さな切開(傷口)を必要とし、最低でも3か所の切開が必要でした。最近は手術器具の進化によって、1つの切開から複数の器具を挿入する手術(単孔式手術)が可能となってきました。
当科では、自然気胸や小型肺がんに対する手術などで、単孔式胸腔鏡手術を選択できる場合があります。ただし、この手術法が適しているかどうかは、病状や患者さんの体の状態によって異なりますので詳しくは担当医とご相談ください。
ロボット支援胸腔鏡下手術
呼吸器外科の分野におけるロボット支援手術は、2018年4月より保険適用となり、現在ではさまざまな肺疾患の治療に活用されています。
胸腔鏡手術は、従来の開胸手術に比べて体への負担が少ない治療法として広く行われてきましたが、モニター越しの平面的な画像を見ながら手術操作を行うため、技術的な習熟が求められる一面があります。
これに対してロボット支援手術では、胸腔鏡手術と同様に小さな切開で行えることに加え、立体的な視野で患部を拡大して見ることができるため、より精密で繊細な操作が可能になります。手術器具は人の手の動きを忠実に再現できるように設計されており、細かい動きも安定して行えるのが特徴です。
当科では、2020年よりロボット支援による胸腔鏡手術を導入し、肺悪性腫瘍(肺葉切除または区域切除が必要なもの)や縦隔腫瘍などに対して実施しています。ロボット操作について十分な経験と技術を有する医師が担当し、患者さんの状態に応じて最適な治療法を選択しています。
ロボット手術の適応となるかどうかは、病状によって異なりますので、詳しくは担当医にご相談ください。
VAL-MAP
~触れて確認しにくい早期肺がんの位置を同定し、部分切除を可能にする~
一部のごく早期の肺がんは、肺葉切除や肺区域切除といった肺を根元から大きく切る手術を省略し、病巣から十分な距離をとって肺を切り取る、肺部分切除だけでも十分に根治できることがあります。しかしながら病変が小さかったり、柔らかかったりすると胸腔鏡カメラでみたときに場所がわからなかったり、指で触って探すためにきずを大きくしなければならなかったりします。当科では、このような病変を過不足ない距離をとって肺部分切除を行うための補助として、呼吸器内科と協働して術前マーキングを行っています。マーキングにはいくつか方法がありますが、当科では仮想気管支鏡を用いた肺マッピング法(virtual assisted lung mapping, VAL-MAP)を行っています。
まず胸部CT検査の画像をもとに仮想気管支鏡と肺の3D(立体)画像を作成し、気管支の枝分かれを確認して腫瘍に近すぎず遠すぎない、最適なマーキングの位置を事前にシミュレーションしておきます。手術の前日、そのデータをもとに、実際の気管支鏡を用いて腫瘍の近くに色素を撒いてマーキングをします。シミュレーションした位置と実際に撒かれた位置とでは多少のずれが生じるため、再度CTを撮影して実際のマーキングと腫瘍の位置関係を修正した3D画像を作り直します。使用する色素は少量でも赤外線を当てると発光するため、手術中にマーキングを見つけやすいという特徴があります。
この方法が適しているかどうかは、患者さんの病状によって異なりますので、詳しくは主治医にご相談ください。
扱う疾患
肺がん、転移性肺腫瘍、気胸、
縦隔腫瘍(胸腺腫、カルチノイド、胸腺がん、気管支原性嚢胞、神経原性腫瘍など)、胸部外傷
このような症状の方を診察します
- 健康診断でレントゲンに異常があるといわれた
- 人間ドックでCTを受け、異常があるとわれた
- 息苦しさを伴う急な胸の痛み
主な検査
CT検査 FDG-PET CT検査 頭部MRI検査 気管支鏡検査 呼吸機能検査
主な実績
診療実績(2024年度)
入院
延患者数 |
新患者数 |
1日平均患者数 |
1.283 |
151 |
3.5 |
外来
延患者数 |
新患者数 |
1日平均患者数 |
1,950 |
191 |
8.0 |
全手術件数(2022年1月-2024年12月)
全手術件数 |
2022 |
2023 |
2024 |
原発性肺悪性腫瘍
|
49 |
53 |
48 |
気胸・嚢胞性肺疾患
|
24 |
30 |
31 |
縦隔腫瘍
|
7 |
8 |
10 |
炎症性肺疾患・膿胸
|
9 |
7 |
11 |
良性肺腫瘍
|
4 |
8 |
7 |
転移性肺腫瘍
|
10 |
11 |
5 |
胸膜・胸壁腫瘍
|
1 |
2 |
3 |
その他
|
5 |
7 |
11 |
合計
|
109 |
126 |
126 |
ロボット手術件数
ロボット手術件数 |
2022 |
2023 |
2024 |
肺葉切除・区域切除 |
7 |
10 |
11 |
縦隔腫瘍摘出 |
2 |
4 |
5 |
合計 |
9 |
14 |
16 |