技師長挨拶
医療技術部放射線課では現在49名の診療放射線技師が在籍し、放射線担当看護師、放射線診断科・放射線血管内治療科・放射線腫瘍科などの医師と協力しながら日々の業務を行っております。それぞれの分野で専門資格、認定を取得し、安全で良質な医療を患者様に提供することを心がけています。
当院は特定機能病院として各種の機能を有しております。その中でも救急救命センターは2024年4月からハイブリッドERが稼働しており救急患者様の救命に貢献しております。
また地域がん診療拠点病院として放射線治療機器を3台(リニアック、トモセラピー、サイバーナイフ)有しており、診療放射線技師、医学物理士、放射線腫瘍科が協働でがん患者の治療にあたっています。
2024年4月よりPET/CT装置を使用したアミロイド脳PET検査も開始されております。
モダリティ別に詳しく紹介しておりますのでご参照いただければと思います。
医療技術部技師長 田原 武比古
部門紹介
一般撮影部門
一般撮影業務に従事している技師は15人程度で、レントゲン撮影のほかにポータブル撮影(病棟、未熟児室、ICU、EICU等)、OPE室撮影、救急撮影なども担当しています。
一般撮影室は一般外来や病棟患者用の撮影室が3部屋(一般撮影室1, 2, 3)、救急外来用の撮影室が1部屋の合計4部屋あります。
一般撮影室1, 2は島津製作所製、一般撮影室3及び救急外来用はキャノンメディカルシステムズ製の管球を採用しており、一般撮影室3を除いた撮影室では二管球を備えています。
FPDは全ての部屋においてFUJIFILMメディカル社製のものを採用しています。
またこのうち、一般撮影室2, 3の2部屋には長尺FPDを備えた撮影室があり、脊柱や下肢のアライメントの撮影を目的とした検査も可能となっています。(fig.1)

fig1. 長尺FPD |
膝関節撮影
当院では椎体や四肢をはじめとした様々な整形領域の撮影を正確に行っています。その中でも膝関節撮影においてはわずかなずれでも見え方が大きく異なってしまうため、より正確なポジショニングが求められています。
当院では膝関節撮影を年間およそ1450件行っており、その中には手術により膝関節を金属に置換した患者の撮影も行うことがあります。
体内金属には大きく分けて二つの種類があり、一つは人工膝関節全置換術(TKA)後の金属、もう一つは単顆型人工膝関節置換術(UKA)後の金属です。それぞれの金属で撮影時の角度調整が微妙に異なるため、それぞれの金属の特徴を把握したうえでの撮影が求められます。(fig2.3)

fig2. TKA |

fig3. UKA |
マンモグラフィ部門
【概要】
・装置 : FUJIFILM社製 AMULET Innovality (2020年設置)
トモシンセシス・マンモトーム対応
・年間検査数 : 約2700件(健診1700件、外来1000件)
・女性技師 : 10名
・マンモグラフィ検診施設・画像認定 取得
年々日本人の乳がん罹患率は増加しており、増える検査数に対応しつつ患者様に安心し検査を受けてもらえるよう乳腺外科・検査部とも連携し検査を行っています。2020年にFUJIFILM社製AMULET Innovalityを導入しました。FPD撮影に変わった事により検査時間の大幅な短縮と被ばく低減、5M高精細モニタによる診断能が大きく向上しました。人間ドックでのトモシンセシスオプションに加え、外来での精密検査においてもトモシンセシス撮影を積極的に行い、より精度の高い検査を行っています。
またトモシンセシス機能を用いたマンモトーム検査も行っています。トモシンセシス画像は、乳腺と腫瘤の重なりなど、通常の撮影では見つけにくかった病変の観察に適しています。そのため2D画像では指摘できず、トモシンセシス画像でのみ指摘された病変についてもターゲティングすることができます。トモシンセシスを活用することにより圧迫板に乳房を挟まれた状態で待機する時間も短くなるため、患者様の身体的負担軽減にもつながります。
透視部門
当院の透視室は、1台がERCPやTBLBなどの検査を行い、もう1台は主に検診ドッグの胃透視を行う計2台で業務を行っています。
透視室で行う検査は、主に消化器内科のERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)や呼吸器内科のTBLB(経気管支肺生検)、小児科の注腸等をメインで行っています。その他にも多数検査を行っており、年間の検査数(2022年度)は1195件になります。

透視検査室(CUREVISTA) |

年間の科別検査数 |
また、当院では通常のERCPで胆管挿入困難な場合に、EUSと呼ばれる、先端に超音波プローブがついた内視鏡で、胃から肝内胆管を穿刺して両者をつなぐEUS-HGS(超音波内視鏡下胃胆管瘻孔形成術)という手技を行っています。これを用いれば、腫瘍によって乳頭部閉塞が生じている場合でも、胃からステントを留置して、経消化管ドレナージが行えるようになります。EUS-HGSの他にも、総胆管と十二指腸をつなぐEUS-CDSも行っています。
血管撮影部門
・血管撮影部門診療放射線技師10名
・血管撮影1名、心臓カテーテル1名を約1週ごとのサイクルで交代しながら担当しています。時間外緊急検査では血管撮影部門スタッフが呼び出し対応しています。
・装置はArtis Zee Biplane(SIEMENS社製)(Fig1.)が2台あり、血管撮影室、心臓カテーテル検査室それぞれに1台あります。

Fig1. Artis Zee Biplane |
<心臓カテーテル検査>
・心臓カテーテル検査室では、医師、救急科看護師、臨床工学技士、診療放射線技師の
4職種で主に循環器内科(PCI、ABL、ペースメーカー等)、小児循環器の検査・治療を行っています。
・検査数は年間約1000件行っています。特徴として小児循環器学会専門医が在籍していることもあり、そのうち100件ほど小児循環器の検査・治療を行っています。
・インジェクターACIST CVi(Fig2.)を導入しており手技時間の短縮だけでなく、造影剤の低減、被ばく低減につながっています。

Fig2. ACIST CVi |
<血管撮影>
・血管撮影では医師、放射線科看護師、診療放射線技師の3職種で主に放射線科、脳神経外科、消化器内科の検査・治療を行っています。
・SOMATOM Emotion6(SIEMENS社製)(Fig3.)が備わっておりAngioCTも行われています。
・検査数は年間約600件行っており、内訳は放射線科7割、脳神経外科2割、消化器内科1割となっています。特徴としては大動脈ステントグラフト(胸部、腹部)指導医が在籍しており、放射線科と心臓血管外科共同にてTEVAR・EVARも行っています。

Fig3.血管撮影室(CT装置含む |
MRI部門
当院の装置と一部の検査をご紹介します。
MRI装置は、PHILIPS社製Ingenia Ambition1.5T、Achieva3.0T dStreamの2台とGE社製signa explorer(1.5T)の計3台です。
昨年度にPHILIPS社製の2台が機器更新され、それに伴いIngenia Ambition1.5Tの検査室の天井には、スカイファクトリーと呼ばれる空のバーチャルウィンドウが導入されました。患者さんから緊張が緩和されると好評を頂いています。(下図写真)

写真:バーチャルウィンドウ |
小児心臓検査
Phase Contrast法のシーケンス(Q-flow)を用いて、肺や体循環する主血管に対して血流量を測定し、
体循環血流量に対する肺循環血流量の比を求めます。各血管の血流量や肺体血流比(Qp/Qs)の算出結果は、治療方針や手術適応等の参考になります。(画像1〜4)
これまで心臓カテーテル検査で肺体血流比等を求めていましたが、被ばくや術中リスクの観点より今後はMR Iでの検査が増えていくと期待されます。

画像1〜3:Q-flow位置決め画像 |

画像4:Q-flow測定結果 |
腹部等の血管検査
主に当院では、コイル塞栓やステントグラフト内挿術後の血流評価やエンドリークの確認目的での検査を行っています。Cine撮像等により、非造影でも画像5のようなエンドリークを描出することができます。
さて、エンドリークがどこかわかりますでしょうか?画像が小さくて見づらいですが、探してみてください。

画像5:ステントグラフト内挿術後のCine画像 |
CT部門
当院はキヤノンメディカルシステムズのAquilion ONE Global Standard Edition及びAquilion ONE PRISM Editionの320列ADCTが2台、Aquilion Prime SPの80列MDCTが1台の計3台で検査を行なっています。
2020年3月30日に導入されたAquilion ONE PRISM Editionは、さらなる被ばく低減を実現するFull IRであるFIRST、新しいDual Energy撮影技術であるSpectral Imaging Systemが搭載され、またディープラーニングを用いて設計した画像再構成技術のAiCEによる小児心血管造影CTの低管電圧撮影に活用しています。医用画像処理ワークステーションVitreaも併せて導入されたことにより、DE撮影や脳CT Perfusion撮影の処理にも利用しています。これらの機能を有効活用するため、小児心血管や冠動脈、さらに脳CT Perfusionや肺血栓塞栓症にはDE撮影の特殊検査に対応しています。負担を分散するため、Aquilion ONE Global Standard EditionではCTCや下肢CTA(2点ROI Test Injection法)、生検やドレナージなどの特殊検査に対応するようにしています。Aquilion Prime SPは救急外来の近くに設置されているため、夜間、休日を含む3次救急までの救急外来対応と日勤帯では外来や病棟の単純CTの撮影を行なっています。

DE撮影 肺 冠状断 |

脳CT Perfusion |
近年、循環器内科の依頼でFFR-CTが導入され、診断目的のカテーテル検査の代わりに冠動脈CTを第一選択とすることも増えており、一日平均3-4件対応しています。
冠動脈CTにはFull IRを利用することで、空間分解能が向上し、石灰化や壁在血栓、またステントのストラットまで明瞭に描出されるようになり、Hybrid IRよりも画質が向上し、安定的な冠動脈CTの画像を提供できるようになりました。

FFR CT |

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当院の強みでもある周産期医療体制が充実しており、先天性心疾患の症例も多く、新生児や低出生体重児の心血管造影CTもよく行われています。グレン手術及びフォンタン手術の術前術後や主要体肺側副血行路の有無など、様々な症例を経験し、データを集め、最適な撮影方法や条件をマニュアル化することで、数年間で安定的な造影効果が得られる画像を提供できるようになりました。Ziostation2での3D再構成ではVRのみならず、心内腔を描出した画像を作成しています。特に心内腔の画像は術前において有用性が高く、心臓血管外科や小児循環器の医師より高い評価をいただいています。
核医学部門
Linac(リニアック)
TomoTherapy(トモセラピー)
CyberKnife(サイバーナイフ)